芝生

 

 

 

 

通い慣れた道を歩く少女。
艶やかな黒髪が印象的な彼女はザフトのアカデミーに通う軍人の卵だ。
少女は公園の中を通り、アカデミーから寮へ帰るところ。
アカデミーの卒業を間近に控えた少女とその同期生は最終的な訓練やらテストで忙しい毎日を送っている。
早々に寮へ帰って休息を取りたくて、自然と足も速くなる。
目に優しい緑の芝生へ何気なく目をやりながら歩いていると、ふと目に付く金色。

「あれって…」

まさかと思いながらも近寄ってそれを見下ろす。
自分の予想が正しかった事に小さな溜息を吐くと、すっと息を吸い込んで…

「こーら!何気持ち良さげに寝てんのよ」

耳を突き刺す様な声を出す。
少女が見た金色は同期生の髪の色だった。
共にノリの良い性格で気が合うので、一緒に行動する事も多いディアッカ・エルスマンだ。
そのディアッカは少女の声に飛び上がる様にして目を覚ました。

「ッ!?……なんだよ、 かよ〜。おどかすなよなぁ」
「こんなトコで呑気してて良いワケェ?明日レポートの提出日でしょう?終わってるの?」

は腰に手を当ててディアッカを見下ろして言う。
ディアッカはのそりと上半身を軽く起こす。
頭をかきながら大きな欠伸をしている。
寝ぼけている風なディアッカに油断していた
突然足首を払われ、倒れ込む。

「っったーい!!何するかなぁっ、もう!」

叫んで横に寝転んでいるディアッカを睨む。
が、ディアッカはいつものおちゃらけた表情をしていなかった。
滅多に見ない真顔にドキッとする。

。お前さ、このまま軍に行くの?」
「ぇ…はぁっ!?当たり前でしょう?何の為にアカデミー入ったと思ってんのよ」

真顔で問われた言葉に一瞬呆けた 。しかしすぐにいつもの調子を取り戻した。
突然何を言い出すのか、と。

「まぁ、そうだけどよ。でもお前女だろ」
「邪魔だとか言いたいワケ?」

思わずムッとする
女だからとなめられるのは面白くない。

「そうじゃねぇよ。んぁー…なんつーかさ。俺的に、 には戦争なんかさせたくないなって思ったダケ」
「え…」

照れているのか横を向いたディアッカは頬をかきながら言った。
は意外なその言葉を聞いて驚いている。
まさかそれは……と思うと高鳴る鼓動を止める事など出来ない。

「俺は男だからサ。怪我しようが最悪死んだって名誉って言えるだろ?だーけど、お前の場合ただのじゃん」

その言葉で途端に冷静になった
この男はっ…と拳に力が入る。

「むっかー!何ソレ〜!仮にも赤を着ようっていう私を侮辱するつもりー!?」

今にも握り締められた拳が飛んで来そうな勢いだ。
誰が傷物だーと憤慨している。
その様子にディアッカは慌てている。

「いや、そうじゃ…だからよー……」

しどろもどろに言葉を繋ぐ。
ふぅ、と息を吐くと決心した様に を見る。
ディアッカの真っ直ぐな視線に射止められた は怒りが急激に凍り付いていく様な感覚を覚える。
どうしたんだと自分を見ている を抱き締めるディアッカ。
は抵抗らしい抵抗も見せずに腕の中に収まっている。
今自分が真っ赤な顔をしているのは明白だ。
甘い痺れが全身を襲って身動き一つ出来ない。

「俺、 が血を流すトコなんか見たくねぇよ」

 

 

 


 

++後書き…もとい言い訳++

初ディアッカ夢。
夢アンケでディアッカも出して欲しいというコメントを見て書いてみた
上手いタイミングでネタ思い付いたから
しかしこれで良いのか…;;
自信なしー(-_-)
やっぱ自分の萌えキャラじゃないと難しいです
短いしさぁ(溜息)
えーと、このヒロイン
ディアッカにこう言われたけど、結局軍へは入るでしょう
じゃなきゃホント何の為にアカデミー入ったかわからんし

−2003/9/16−