宿題

 

 

 

 

ぽかぽか陽気が心地よいこの時期は学生達の春休み期間にあたる。
大学生である啓介も例外ではなく、普段以上にだらけた生活を満喫している。
つまり…昼間は惰眠を貪り夜は峠へ、というリズムを飽きもせずに毎日続けているという事。
そんな啓介が珍しく昼間起きている。
場所は何とも似つかわしくない本屋。
滅多に来ない為どこに目当てのコーナーがあるのかわからずぐるりと店内を一周する。
ようやく目当てのコーナーを見付けた啓介は思いがけない人物と出会う。
いや、間違いなくその人なのかイマイチわからない。
声をかけようか思案しているうちにじっと見ている事に気付かれてしまった。

「ん?高橋君じゃない」
?マジかよ…」

同じ大学の同級生である
真面目で近寄りがたい雰囲気をまとっている であった筈だが…今日は違う様だ。
いつもカッチリとした服装ばかりしていたが今はスラリとした足が映えるミニスカート。
化粧もバッチリきまっている。

「何を驚いてるのかしらねぇ」

意地悪そうな笑みを浮かべる

「何をって…驚くだろ、普通。大学で見る時と全然違うじゃねぇかよ」
「大学では親しい友人を作りたくないからね。出来るだけ人が避けてくれる様な人物を装ってたの」
「はぁ?」

啓介はその意図がわからず首を傾げる。

「わかんない?友達が多いと遊びにばっか走る羽目になるデショ。大学へは勉強しに行ってるのよ?」

結局根は真面目なのだろう。

「…そうか」

取り敢えず納得しておく。

「そう言えばさ、宿題やった?」
「は!?宿題ぃ?んなもんあったか?」

全く覚えがない。
と言うよりも春休みに宿題など出されるであろうか?
しかし相手が真面目で通っている だけに思い出そうと眉間にシワを寄せて考え込んでしまう。

(あったっけか?宿題?何の事だよっ!)

啓介は非常に慌てている。
そんな啓介を見た は思わず吹き出す。

「あ?何だよ、笑うなって。宿題なんてあったか?覚えねぇんだけど」

怪訝な表情。

「ふっ…ふふふ、あはははは〜っ、ひぃぃ〜。くくく…」

盛大に笑い飛ばしてくれる
これ以上ないくらい楽しそうだ。
思い切り笑う に絶句する啓介。
どうやら今まで持っていたイメージは捨て去った方が良いらしい。

「はぁ、ゴメンゴメン。今日はエイプリルフールだよ」

つまり嘘。
の意外な面を見せつけられた啓介は目をパチクリさせている。
出会ってから驚かされっぱなしだ。

「で、高橋君は何買いに来たの?まさか参考書は有り得ないし」

なかなかわかっていらっしゃる

「悪かったな。雑誌だよ雑誌」
「あぁ、エロ本?」
「アホ言うなよ。車の雑誌だっつの」

呆れる啓介。普通に女友達と同様に扱えば良い様だ。

は?」
「私は父さんに頼まれた競馬雑誌と兄さんに頼まれたバイク雑誌、それとコレ♪」

次々と目当ての雑誌を手に取る。
最後に手にしたのは 本人お目当ての雑誌。
手に取ったのは走り屋向けの雑誌だ。

「!?」
「じゃーねぇ、レッドサンズのNo.2君。機会があれば峠で会うデショ」

ニヤリ、という笑いを残して は足早にレジへと向かった。

 

 


 

++後書き…もとい言い訳++

涼風のリハビリ第2弾。
やっぱり夢じゃないなぁ…(-_-)
このネタは丁度エイプリルフールが近い事に気付いたら即思い付いた話。
そのせいかやたらと短いんだけど…
真面目な女子大生と見せかけて走り屋なヒロインsanでした〜♪

−2003/3/30−