日曜の夜

 

 

 

 

あー…怖ろしかったぜ。
あん時のアニキ…。
と藤原のハチロク対決の後、俺が を送ってから家帰ると寝てるだろうと思ってたアニキが起きてた。
すっげぇ黒いオーラ撒き散らして俺を出迎えたんだぜ?
怖ろしいだろ!?
あんな黒い笑顔しなくたっていいじゃねぇかよ…。
そりゃ、 が皆に好かれてるのはわかってるよ。
恨むなら を恨めっての。
が俺に頼むって言いだしたんだからよ。

 

 

 

翌日。
日曜日の夜であるが昨日のバトルの事もあり、 も涼介も啓介も赤城に出向いていた。

、本当にどこも打ったりしなかったか?」

涼介は小さな を心配そうに見下ろす。

「平気へーき!打撲もなさそうだし首もなんともないよ。打った記憶もないしね」
「そうか」

二人はにっこりと微笑み合う。
そんな光景を一歩離れた場所から見ているのは啓介だ。
走る時以外 から少しでも離れているのは非常に珍しい。

「で、啓介から聞いたんだが…今日はもうレビンでの初仕事したのか?」

涼介は不満そうな表情を浮かべている啓介を無視して と話し続ける。

「あぁうん。まだちょっと違和感あるし、トレノ程手も加えてないからそんなに速くは走れないけどね」

いつもと違う雰囲気の二人に気付いてはいる だが、聞くに聞けない雰囲気なので取り敢えず会話を続ける。

「そればかりはな。走り込めばまた変わるだろうが。まぁ速く走る必要もないモノだからな、無理はするなよ」
「それはわかってるよ。でも何か普通に走らせるのもつまんないんだよねぇ。ついついアクセル踏み込んじゃう」

ははは〜と笑う

「走り屋だな、すっかり」
「だねぇ。すっかり父さんの策略にはまってしまったわ。わかってた筈なのにな〜」

溜息を吐き、肩を竦ませる。

「策略?」
「そ、兄貴も私と同じ様に朝の仕事やって走りが身に付く様に仕向けられてたの。
でも兄貴はトロくてね、遅かったの。で、兄貴の後を引き継いだ私の方が速い上にハマっちゃったんだよね〜。
始めから走り屋に仕立てるつもりで仕事の手伝いさせてたって事。
ま、兄貴が仕事の手伝いを始めた頃には既に父さん死んでたから叔父貴が策略を引き継いでた事になるけど。
文太おじさんも同じく、ね。
拓海と私は英才教育の結果なワケよ。兄貴みたいなのがいる様に必ず成功するモンでもないけど」

可笑しそうに話す だが、突拍子もない計画だ。
中学生の子供達に無免許運転をさせていたのだから。

「しかし、うまい具合に手伝いをさせられる様な家業だったな」
「…そうね」

は深い溜息。
それと共にチラッと啓介の方を見る。
バッチリ目が合ってしまったが何故か目をそらされる。

「?」

何かおかしい…。

「ねぇ、涼介。啓介どうかしたの?」

そっと小声で聞いてみる。

「何がだ?」
「何がって…いつもなら一緒に話するのに今日は全然じゃない」
「そうだったか?」

涼介は全く啓介の様子を気にしていない。
それもその筈、昨夜啓介に黒い笑顔で言ったのだから。

『さぞかし楽しいドライブだっただろうな。暫く から距離を置いてみたらどうだ?いつもくっついていては に迷惑だろう?』

涼介にこう凄まれては近づきたくても近づけない。
ご愁傷様、である。
この日、結局 と啓介は言葉を交わす事はなかったと言う。
涼介は との会話を満喫しただろう。
帰宅後、満足そうな兄の姿を啓介は目撃し悔しい思いをしたとかしないとか。

 

 


 

++後書き…もとい言い訳++

ほとんどお遊び(笑)
自己満作品です(オイ)
啓介が羨ましかったのねぇ、涼介
この夜、ヒロインは涼介に独占されて過ごしたのでしょう

−2003/4/8−