ファーストネーム

 

 

 

 

カリカリとペンを走らせる音。
カタカタとキーを打つ音。
それに混じり紙を捲る音も聞こえる。
群大医学部の研究室で数人のグループがレポートをまとめている。
その中心にいるのは と涼介。
今回の研究の総仕上げを行っている最中だ。
このレポートがまとまれば暫くはゆったりとした学園生活が送れるだろう。
短い間ではあるが。
そしてこのグループも解散となる。

「ねぇ ちゃん」

一人のメンバーが困った顔をしている。

「どうしたの?」

内心「またか…」と思いながらもそちらを向く。

「うん、これなんだけどね…」

その一方で涼介も他のメンバーから質問攻めにあっている。
相変わらず二人は頼られっぱなしの様だ。
ひとたび質問攻めがおさまれば作業に没頭しだし、沈黙が訪れる。
カリカリと、カタカタと耳に届く音はそれだけ。
暫くそんな時間が流れていく。

 

 

 

「ふぅ」

は区切りのついたレポートから目を離す。

「疲れたか?」

声をかけたのは涼介。

「少しね」
「じゃー休憩しよっか〜」

一人があらかじめ用意していた飲み物を取り出す。

「そうだな、随分進んだしなー」
「このまま続けても途中で集中力が途絶えそうだしな。お前達の場合」

涼介は冷ややかにメンバー達を見る。

「俺達、高橋と ほど優秀でもなければ真面目でもないからなぁ」

ふざけてそう言うメンバー。
「自分で言っちゃオシマイだってば」

もう一人は苦笑している。

「そこで努力しようとは思わないワケか?俺だって だって努力してないわけではないんだが」
「別に自分が真面目だなんて思ってないんだけどね」
「うーわ、いってぇな」

笑いながら言うと飲み物を口に運ぶ。

「はい、 ちゃんと高橋君の」

二人の分を がまとめて受け取る。

「ありがと。はい、涼介」
「ああ」

二人は何事もなく、普段通り。
しかし気付いてしまった。グループのメンバー達は。

「今週末は睡眠時間がしっかり取れそうだな」
「そうね」

固まるメンバーに気付かずお茶を口に含み、何気ない会話を交わす二人。

「そう言えば啓介君と 、今週末一緒に行くんですって」
「そうか。 も来るんだろう?」
「まぁ、そのつもり。涼介は?」
「俺が行かないワケにもいかないだろ」
「ごもっともね」

やたらと親しげ。
その上…

(((名前で呼び合ってる!しかも呼び捨て!?)))

いつの間に…という顔で呆然とする一同。
ショックを受けつつも納得してしまう。

(((二人ともレベル高いしなぁ…頭も良いしー。お似合いだよなぁ)))

レポートが終了し帰路に就く際、二人肩を並べて仲良く談笑しながら歩く姿が目撃されたとか。

 

 


 

++後書き…もとい言い訳++

このお題…イニDでやるには無理があるよねぇ
んじゃ別ジャンルで書けよ、ってツッコミはなしですー(T-T)
出来るならワンピかハリポタで書きたかったんだけどね
このネタ思い付いちゃったら書きたくなっちゃって…
間違ってないよね!?日本名だからって駄目って事ないよね!
うん、いいのサ(脱兎)

−2003/4/5−