放課後

 

 

 

 

「さて、本日の講義終了。さっさと帰ってFDの洗車しよーっと♪」

腕時計を確認した はテキストやノートの束を抱えてキャンパス内を歩いている。
シャキッと背筋を伸ばし、真っ直ぐ前方を見て歩く姿は真面目そうな学生だ。
相変わらず猫被りは続いているらしい。
そんな の視線の先に見覚えある姿が現れる。
同じ大学に通い、同じ車を操る同じ走り屋である人物。
啓介だ。
は一瞬迷う。
声をかけるべきか、気付かぬ振りをして通り過ぎるか。
しかし の中で決断が下される前に啓介に気付かれてしまった。

「おぅ、 じゃん。帰るのか?」

声をかけられては仕方ない、と諦める

「うん、今日は天気も良いし洗車でもしようかと思ってね」

猫被り ではなく素の で答える。

「あー俺も洗車すっかな〜。黄色って虫寄るから汚くなりやすいんだよなぁ」
「山に出入りするから余計にでしょー?なんで黄色にしたかなぁ」

わざと呆れた顔をしてみせる。

「そう言う は黒じゃねぇか。黒は汚れ目立つだろ。塗料柔いから傷も付きやすいしよ」

少しムッとして反論する啓介。

「こまめに洗車しとけば汚れなんて気にならないし〜。傷付ける様なヘマもしないし〜」
「あっそ。…そういやさ、お前車通学か?」
「アレで通学したら真面目な学生に見えないでしょーが。家近いから自転車だよ」
「お前が自転車っ!?はっマジかよ!すげぇ可笑しいってっ」

驚いた顔をしたと思ったらすぐに面白そうに笑い出す。

「笑うトコかなー」

憮然とする

「イメージじゃねぇんだよ」

なおも笑い続ける啓介。

「ちょっとぉ!いつまで笑ってんの!?」

は持っていたテキストでバシバシと啓介を叩く。

「痛っ痛えって。悪かったな、だって可笑しいんだもんよ」

啓介は言い訳すらしない。

「私が自転車に乗るのがそんなに可笑しいワケ?ったく、もー」

そう言って、プイ、と横を向く。

「だから悪かったって。で、明日来るんだろ?」
「当然でしょ。だから今日洗車しとくんじゃない。啓介こそ虫つけて峠来ないでよ?」

ニヤと笑いかける。

「んなカッコで峠行くかよ」
「そうよねぇ、ファンの女の子達に嫌われちゃうモンね〜vv
「関係ねぇだろ、あんなの」
「どーかしらねぇ?」

クスクスと笑う

「なんだよ、その笑いはよー」

 

 

 

等と二人は喋り続けている。
それ故に気付いていない。
呆然と歩き見て壁にぶつかる者、思わず立ち止まってあんぐりと口を開けている者。
等々、お喋りに花を咲かせる二人に気付いた学友達が唖然としている事に。

“あの真面目で話しにくそうな と話してる!?”
“お堅そうな が笑い転げてるよ!?”
“対極の存在だと思ってたのに… と高橋って談笑する仲だったの!?”

しかしこれから先も の猫被りは続く(笑)

 

 


 

++後書き…もとい言い訳++

あー短いなぁ…
キャンパス内でヒロインと啓介にじゃれ合って貰いたかっただけなんデスー(-_-)
しかし実際啓介のFDってどうなんでしょーね?"虫"問題
つーか自分で洗車してるのか??
うーん、金持ちだからなぁ。金払ってプロにやって貰ってるのかなぁ

−2003/4/7−