ぽたり



落ちる雫が、頬を濡らす。



囁かれた名は、本当に私のもの?



























天気がいい日だった。

夏も、終わりに近づいていて。

だから、出かけたのだ。

秋が来てしまえば、すぐに冬が来る。

そうすれば、ピクニックなんて出来なくなる。

だからと、忙しい趙雲を急かして はピクニックを決行したのだった。





楽しく時は過ぎ。





では帰ろうかと言いだした頃から。

雲行きが、怪しくなった。

「これは、一雨来るな」

を愛馬に乗せた後、己は の後ろに座り。

一言、そう言った。

その次の瞬間。





バリバリバリッッ





「!!」

耳を劈くような轟音が、辺りに轟いた。

そして、それを追いかけるように。





「あ・・・。雨・・・・・・」





しとしとと降りだしたそれは。

すぐに、土砂降りになった。













雨の中戦場を駆けることなど、ざらにある。

己はそうでも、 は違う。

どんなにお転婆でも、女性。

体の造りは根本から趙雲とは違っていて。

「大丈夫か?」

声を掛ければ。

「平気、平気」

無理をしてでも、笑う。

そんな性格を、よくよく知っているだけに。

それだけに、殊更心配だった。













土砂降りの雨の中、愛馬を走らせて。

ようやく見つけた、雨宿りできそうな場所は。

崩れそうな、廃屋。

(これでも、マシだな)

そう思いながら、愛馬を繋ぎ。

を抱えて、足を踏み入れた。

「誰もいないね・・・」

「おそらく、襲われたのだろう」

夜盗や、盗賊、山賊の類に。

有り難いことに、囲炉裏が在って。

家の中に在る、燃えそうなものを趙雲は探す。

「手伝うよ」

が言っても。

「いいから、座っていろ」

そう言って、趙雲は手伝わせなかった。



ぱた



の髪から水滴が落ちて。

床を濡らす。

丸い染みは、一つ、二つと数を増やし。

はただ、それを何となくじっと見ていた。













燃えそうなものを集めながら。

視界の端にいるのは、誰よりも大事な人。

己よりも少し色素の薄い、髪の先端から。

ぽたりと、一滴落ちるのが見えた。













ぱちりと、薪が燃える。

その火のすぐ近くに、 を座らせ。

それに、寄り添うように趙雲も座る。

脱いだ衣は、乾くようにと掛けられて。

寄り添って、触れあった場所から。



の。

趙雲の。

















熱が、流れてくる。

















ぽたり



の前髪から落ちた水滴が、趙雲の肩に落ちて。

そのまま、すうと、鍛えられた胸を滑り落ちる。

水跡は、趙雲の胸に、確かに刻まれて。











































外は。

未だ、止まぬ雨が降り。









この胸には。

降り続く、あなたへの思い。













































耳元近く、囁かれた名は。

いつもと違う、音がして。





「なに?」

返した言葉も。

いつもと違う、音がして。





「寒く、ないか?」

「うん、大丈夫」





他愛ない、いつも道りの会話をしながら。

本当は、いつも通りじゃないことくらい。







も。

趙雲も。













わかっている。















「なに?」













視線が重なれば。

胸にある言葉が、心に響いて。













・・・・・・」













掠れた、声で呼ばれたその名は。

本当に、私の名前?

いつもとは、全く違う音に聞こえるその名は。

本当に、私の名前なの?













「な・・・に・・・・・・?」













「   、      」





























そっと、影が重なった。































外は、未だ止まぬ雨。













この心には。





































止まらぬあなたへの思い。

















つっきーへ捧げます、趙雲夢です
てか、この人誰ですか?(聞くな
つっきーに素敵趙雲(属性タラシ(笑)を貰ったお礼にと張り切ったのに・・・
見事、撃沈です!丞相!!
つっきー、こんな感じでどうですか?
宜しかったら、お納め下さいませ(平伏




2005.11.5


涼風コメント

ぐはッ!な、なんですか、この素敵な話は!!
こんなに何度も名を囁かれたら誰もが落ちますって〜(>_<)
一人パソコンの前で悶絶してましたよッ。
あぁ、もっと呼んで下さい(コラ)
雨は当分止まないでいてくれるといいですな。
廃屋に二人きり、外は雨、お互いがお互いを暖めて。
うっふっふvv
その先はどうにでもなれ!(ちょっと落ち着きなさい)
あー、動悸がおさまらないわ…。
素敵な作品有難う御座いました!!