目覚メ知ラヌ者ヘ…
周到ニ用意サレテイタ安息ヲ
雨が連れて来た奇遇
冷たい雨がざぁざぁと降り続ける。
雨は足音を殺し、足跡を殺してくれる。
これこそ恵みの雨、だ。
そんな事を思い、震える唇を僅かに引き上げ歪めた。「ここが…木の葉隠れの里、か。くぅッ。血を流し過ぎ、た‥」
雨は容赦なく体に降り注いで体温を奪い、体力を奪い、血を奪っていった。
里へ入り込む事に成功し安堵した為か、ゆっくりと体が傾いでいく。
自分でそれがわかっても、もう為す術は残されていなかった。
細い体は湿った地面へ倒れ込んだ。
暫く雫が頬に落ちる感触で意識を繋ぎ止めていたが、長続きする筈もなく意識は沈んでいく。
徐々に近付く水音を感じながら…。
どれだけの時が経ったのか。
気が付いたのは家の中。小さなベッドの上だった。
視線を彷徨わせ、部屋の中を見渡す。
誰もいない。
窓から見える景色は里へ入った時と変わらぬ土砂降りの雨模様。「…‥さむ」
その雨でずぶ濡れになったせいで体はすっかり冷え切っていた。
自分を助けた人間は余程の間抜けらしい。
濡れた体を拭きもせず、寝具が濡れる事も構わず寝かされていたのだから。
取り敢えず怪我の具合を確かめながら体を起こす。
どうやらこの家の住人もこの部屋へ向かっているようだから。「く…」
(出血は止まってるな。だが‥早めに手当を…)
傷口に服が擦れて痛む。
痛みで眉間にシワを寄せながらも、近付く声の主達に意識を向けた。「まったく、もー。犬や猫じゃないのよ!?アンタ忍者だって自覚あんの?」
「だ、だってさだってさ。ほっとくワケにいかないじゃんかよ!女の人だったし!」
「ま、先ずは警戒するべきだよねー」
「そうよ。本当は男かも知れないじゃない」
「…だって、ほっぺたつねっても、何も…」
「フン、ドベが。実力ある忍なら少々の事で変化を解いたりしないだろ」四人分の声。
そのうち三人は子供の様だ。(私を助けたのは子供か。というか、抓られてたのか…)
思わず頬に手をやってしまう。
いくら疲れていたとしても抓られて気付かないとは…。「あーれ。起きてたんだねぇ…って、ナルト」
「アンタ、ほんっとーにッバカね!濡れたまま寝かせるなんてアンタくらいよ!!」背の高い男と女の子が金髪の男の子を呆れた様に、又は怒りの目で見ている。
「あー…いや、助けて貰えただけでも有り難いよ」
苦笑しつつも金髪の男の子を見る。
男の子は笑いかけられたのが嬉しかったのか、笑顔で走り寄って来た。「なーなー、ねぇちゃんなんであんなトコで寝てたんだ?」
「…寝ていたのではなく、倒れていたんだと思うけどな」
「救いようがないバカだな」なんとも的外れな質問に一瞬呆気に取られる。
悪いが黒髪の男の子と同意見だよ。と、内心思った。「なんだとォー、テメー!!」
「はいはーい、その辺にしよーねぇ」バカにされたのが気に食わなかったらしく、黒髪の男の子へ飛びかかろうとする。
それはあっさり唯一の大人である男に遮られたが。
男の子を止めた男は探る様な目を向けてきた。「失礼ですが、貴女は?」
「私は 。助けてくれた事を感謝する。で、君達は?」男の鋭い視線に臆する事なく と名乗る彼女は淡々と答えた。
「ハイハイ!オレ、うずまきナルト。ねぇちゃんを助けたのはオレだってばよ!」
「そうみたいだね。ありがとう」
「へへへ」礼を言われた金髪の少年、ナルトは照れた様に笑う。
「オレははたけカカシね。よろしく〜♪」
さっきまでの痛みさえ感じそうな視線はどこへいったのか、にこにこしながら手を差し出す男。
は「はぁ…」と仕方なさそうに手を握った。「「オイッ!!」」
残りの二人が驚いた様にカカシを見る。
「ん?」
「いいのかよ、そんな安易に名乗って」
「別にいーんじゃない?だーいじょーぶ、だーいじょーぶ」
「まぁ、先生がそう言うなら。春野サクラよ」
「‥うちはサスケ」笑顔で名乗ってくれるサクラと、渋々名乗るサスケ。
しかし名乗った次の瞬間には真顔に切り替えられる。「じゃ、早速だけど」
「話を聞かせて貰おうか」
++後書き…もとい言い訳++
初NARUTO夢。で、いきなり長編です(滝汗)
全六話で、出会い編みたいな話です。ヒロインが皆と知り合い親しくなるまでを書きます。
その後は気まぐれに、原作に沿ってる様な沿ってない様な話をポツポツと。
連作みたいな感じで書こうかな?なんて。
お題や短編の番外編では色んなキャラと絡ませたいなーvv
だって、絡ませたいキャラが多くて…。
カカシとー、ハヤテとー、カブトとー、イタチとー、サスケとー…
各キャラに分岐でも面白そうだけど、絶対無理だな!(断言)
メインストーリーは多分逆ハー。
もしかしたら誰かとくっつくかも知れないしくっつかないかも知れない(ほんと曖昧だな、笑)
ま、気の向くままに書いていきますので気長にお付き合い頂けると嬉しいですv−2004/11/2−