目覚メ知ラヌ者ヨ…
優シキ瞳ニ見守ラレテ
面影
「や!調子はどーお? ちゃん」
木の葉病院を出た所でカカシが現れる。
その気配に気付いていた は動ずる事もなく、目を合わせて言った。「痛みはありません。たいした怪我でもありませんでしたし」
(イヤ、じゅーぶん酷かったデショ…)
心の中で呟いたカカシ。
それが顔に出ていたのか は首を傾げている。「何か?」
「うん?なんでもなーいよー」カカシはにっこりと笑って返す。
対して には表情の動きがない。(まだ信用されてないのかねぇ。せっかくの美人さんなのになー。勿体ない…)
「それで、用件は?」
「…まだなんにも言ってないのにわかっちゃうんだね〜」一瞬キョトンとして見せてから感心した様に言う。
「忍として育ちましたからね」
やはり はサラッと返してくる。
少し残念そうに苦笑したカカシはそれについては何も言わず、先を続けた。「じゃ、一緒に火影様のトコ来てくれる?」
「了解」の怪我を気遣って、大分遅いスピードで駆けて行くカカシ。
木から木へ、屋根から屋根へ。
その後を追う は苦もなくしなやかな動きで疾駆している。
病院の世話になる程の怪我人とは思えない動きだ。
流石に霧隠れの暗部を退けるだけの実力者である。
やがて二人は火影の待つ建物に到着し、無言で火影の部屋を目指す。「あ。一応忍具預からせて貰うけどいーい?」
扉の前まで来た所で足を止めたカカシは、喋りながらくるりと振り向いた。
「どうせ拒否権はないでしょう?どうぞ」
「話が早くて助かるなー、 ちゃんは♪」躊躇う事なく差し出された忍具の収まったポーチと手裏剣ホルダー。
取り敢えず信用されていないワケではないらしい。
そうでなくてはこうもあっさり武器を手放す筈がない。「火影様、 を連れて参りました」
ノックをしてから用件を告げたカカシ。
「うむ。入れ」
すぐに返された火影と思しき声。
カカシは扉を開けると、 を先に通してから背後につく格好で部屋に入った。「お前が か」
を見据える火影。
その火影は を見た途端、僅かにではあるが驚きを見せる。(ん?なんと…!)
「??」
「…?火影様、どうかなさいましたか?」は首を傾げ、カカシもどうしたのだろうと声を掛ける。
「いや、何でもない」
そう返した火影の顔には僅かな笑み。
(成程の。この様子やカカシの話では 自身、真実を知らぬのじゃろう)
「話は既にカカシから聞いておる。面倒だし、お前からまた話を聞く様な事はせん」
「「は!?」」そんな事で良いのか!?と もカカシも間抜けな声を上げた。
火影はそんな二人の反応も気にせず続ける。「霧隠れの里にはもう戻れんじゃろ。木の葉に家を用意しよう。そこに住むと良い」
予想もしなかった言葉に は呆気に取られている。
(…んー、一体何を考えているのやら)
カカシですら随分と嬉しそうに話している火影を訝しげに眺めている。
「…‥よろしいのですか?私は追われている身、この里にいれば霧隠れの忍が‥」
「かまわん」
「し、しかし…」何を言っても聞き入れて貰えなさそうな雰囲気だ。
「 、母に へ行く様に言い残されたのじゃろう?ならばお前にとっても好都合だと思うんじゃがのォ」
「それは、そうですが…。ですがそれでは火影様や里にとってのメリットがありません」
「理由はいずれ知れよう。それまでワシは何も語らぬ。ああ、 について調べるのなら好きにすると良い」火影は言うだけ言うと、もう良いと手を振った。
「わかりました。有難う御座います」
予想外だが願ってもない事に、 は深々と頭を下げた。
顔を上げるとカカシと共に退出して行く。
二人の気配が遠ざかると、火影はもらした。「思い出すのォ。よく似ておる」
その言葉と共に笑顔も浮かんでいた。
「ま、なんだ。よくわかんないケド、良かったね?」
カカシは隣を歩いている に話しかける。
「正直ホッとしましたよ」
は少し高い位置にあるカカシの顔を見上げ、力が抜けた様に笑った。
カカシも待ち望んだそれにつられた様に表情を緩める。「今日は宿の方とってるから、家の用意が出来るまではソコに滞在。じゃないかなー?」
「え!?宿、ですか」
「ん、嫌?」
「とんでもない!そこまでして頂いて良いのかと…」里に置いて貰えるだけでも喜ぶべき事なのに、家の用意やら宿の手配まで。
至れり尽くせりである。
が慌てるのも当然だ。「いーんじゃない?」
「はぁ、そうでしょうか」ケロッと返されるが、 は納得がいかない様子で首を傾げている。
「なんならウチ来ちゃう?」
「カカシさんがとてつもなく大きな屋敷に住んでいて部屋が余って困っている、というのならそうしますが?」の真似をする様に首を傾げ「おいでよー」とのたまうカカシ。
しかし呆れ気味の にあっさり切り捨てられたのだった…。「 ちゃんたら冷たいのね…。ざーんねん」
「残念じゃありませんよ、まったく…‥あ、カカシさん忍具返して貰えません?」ふと思い出した 。
火影に会う前に預けていた忍具の事を。「あ‥ごめんごめん。忘れてたよー」
「‥‥‥」後頭部を掻き、誤魔化し笑いを浮かべながら忍具を手渡したカカシ。
は再び呆れて何も言葉が出なかったとか…。
++後書き…もとい言い訳++
ヒロイン、木の葉の里に住む事になりましたー。
火影様はヒロイン自身も知らない真実も知ってるみたいですね(みたいってねぇ…)
てか、火影のじーちゃんってば口調がわかんないんだよね。イマイチ。
微妙に語尾が自来也とかぶるじゃん!トカ思うのは僕だけ?
変だな、と思っても見逃してやって下さい。−2004/11/22−