生きたい理由

 

 

 

 

 

不思議だったんだ。
程軍人らしい人が、僕と一緒にいてくれる事が。
だって他の奴等は僕…ううん、僕達になんて見向きもしなかったんだから。
って言うか、避けてたんだよね。
そうやって一緒にいて、 は本当はとても軍人らしくない人だって気付いた。
だってさ。
ってば人の事ばっかり心配してるしさ。
規則も結構破ってるし。
何気にマイペースだしね。
よく見てると無責任だし。
影でサボってるし。
いつの間にか には気を許してたっけ。
僕、今までどうしてもやりたい事なんてなかったんだよね。
こんな体になってもさ。
取り敢えず生きてりゃいーよ、って。
生まれてきた意味なんて最初からないんだ、って。
でもね。
に会って思った。
あぁ、僕はきっと に会う今の為に生まれて来たんだって。
きっとこれが意味だったんだって。
理由なんてないけどね。
ただ、楽しいから。そう、思いたいから。
それだけだよ。

 

覚えてるかなぁ。
四人でいる事が多かったけど、初めて二人で、二人だけで過ごした事。
あのウルサイ赤いのもいたけど…。
あの時何を話したかなんて忘れたよ。
でも一つだけ覚えてるんだ。

の笑顔

僕だけに向けられた笑顔。
多分だけど、僕が の事を好きになったの、あの時だと思うんだよね。
呼吸をするのも忘れて見惚れてたと思う。
あの時の僕、相当間抜けな顔してたんだろーなぁ…。

「どうした?クロト」

くすくす笑いながら僕を見てた

「べっ、別に…っ」

ハッとして横向いたんだよね、僕。
おっさんとか他の軍人の前ではニコリともしない
そんな の本当の顔見てたら、この腕で閉じ込めて何処にも行かせたくなくなった。
恥ずかしくてそんな事出来なかったけどさ…。
どーせね!
とはそんなに長い時間を過ごしたワケじゃないのに。
何でこんなに好きなんだろうなぁ。
ほんっと不思議だよ。
僕に笑いかけてくれるから、色々な話を聞かせてくれるから、ゲームの相手をしてくれるから…
どれも確かな様で確かじゃない感じ。
別に確かな理由なんて今はいらないけどね。
それはまた今度探せばいーよ。
戦争が終わってから、とかさ。
そしたらきっと とまた一緒に過ごすんだ。
が僕の苦しみを吸い取ってくれる様に、 の哀しみ全部、僕が幸せに変えてやるんだ。
この役はオルガやシャニには絶対譲れないね!

でも……

僕は心の中でこっそり想うしか出来ない。
にちゃんと誓えないよ。
こんな僕じゃ、ね…。

γ−グリフェプタン

僕達に付いて回る悪魔。
これがなければ生きていけない僕。
これのせいで死ぬかも知れない僕。
でも僕は が喜んでくれるなら生きるよ。
どんな事をしても。
精一杯生きるんだ。
そして幸せそうに笑う を抱き締めるんだ。
今度こそ。

 

 

 

 

 

薬が切れた。
苦しい……苦しいよっ!

「あはははははは…っ!!」

半狂乱になったクロトはデュエルへ攻撃を加える。
すかさずビームライフルを向けてくるデュエル。
しかしそれはクロトの攻撃により破壊され、爆発してしまう。
デュエルは攻撃の手を頭部のイーゲルシュテルンに変える。
だがこの程度の威力では大して役に立たない。
被弾したバスターを庇っている為に動く事もままならない。

「僕はね…僕はねぇ……ッ」

バスターから武器を奪ったデュエルは更に攻撃。
レイダーの口元からもビームが放たれる。
ほぼ同時に放たれた二つの射線。
片方はデュエルの肩に当たるがダメージはあまりない。
もう片方は……正確にレイダーのコクピットを貫いていた。

まだ 生きていたかったんだ………

 

 

 


 

++後書き…もとい言い訳++

小田和正さんのwohwohを聴いていて思い付いたものの…
ワケわからなくなってしまった;;
歌詞見るとクロトと連載のヒロインにピッタリだなぁと思って書いた話です
クロト達って薬切れ時の苦しさは嫌だったけれど、生きる事に関しては執念深かった様に思うんですよね
苦しい思いをしてでも生きていたかった様な
そんな生への執着が伝われば、と思います

−2003/10/1−