残り物には福がある?
「え、そうなの!?やだ〜なんで言ってくれなかったのぉ?」
不満そうな声を上げたのはアークエンジェルの軍医の一人、
だ。
は只今ランチの最中。
向かい側にはブリッジ要員であるヘリオポリスの学生だった子供達。
「え、だって…そんな事祝ってる場合じゃないでしょう?今は」
沈んだ声を発したのはキラ。
キラの発言に顔をしかめてしまう
。
「あのね、こういう時だからこそ息抜きになる理由はとっても大事なの。
ましてやキラ君達はまだ子供だもの。誕生日くらい祝って欲しいでしょ?」
前半は真顔で、後半は笑顔にウィンク付きで
は言う。
どうやらキラは数日前に誕生日を迎えたのを黙っていた様だ。
「でも…」
「はいはい、文句は受け付けません!」
楽しそうな表情の は良く通る声でキラの声を遮る。
「観念するんだな、キラ。 先生って結構頑固だから一度言い出したら絶対撤回しないぜ」
キラの隣に座っていたサイがポンとその肩に手を置いた。
「なんだ。何を騒いでるんだ?」
そこへ現れたのは休憩にに来たのであろうノイマン少尉。
「あ、 先生がキラの誕生日祝いしようって言ってくれてたんですよ」
笑顔で答えたミリアリア。
も笑顔で頷いている。
「今日誕生日なのか?」
「あ、いえ、もう何日も過ぎてるんでいいって言ったんですけど…」
「あー、まぁ、
先生は言い出したらきかないからな。ところで、俺も誕生日近いんですけどね」
「まぁ!それならノイマン少尉もご一緒にお祝いしましょう♪」
瞳を輝かせている
。
祝い事が好きなのか、企画事が好きなのか。
その判断はつかないが非常に張り切っているらしい事は一目瞭然だ。
「是非」
そう言ったノイマンはコーヒーを持って食堂を後にした。
「よーしっ、俄然張り切っちゃうわ!楽しみにしててねvv」
夕食後の時間の過ぎた静かな食堂。
とミリアリアはそこにいる。
食料庫や冷蔵庫を物色してコッソリ頂いてきた材料を使って二人の為のケーキを作っていたのだ。
誕生日祝いと言っても物資も時間も乏しいこの艦では盛大なパーティーを開くなど無理な話で、
今回も皆で集まって短いティータイムを楽しむという程度になる。
「こんなモンよね。少ない材料でこれだけのケーキが出来れば文句なんて言えないでしょ」
「
先生の手作りケーキに文句言う人なんていませんよ〜。先生ってば人気者だもの」
ミリアリアの言葉にキョトンと首を傾げる
。
自覚がないらしい。
「…
先生、気付いてなかったの?先生を狙ってる人、多いと思いますよ。気を付けて下さいね!」
「や、やだ!ミリィからかわないでよ〜」
は真っ赤にした顔を両手で包み込んでいる。
「本当の事ですよ〜。じゃ、私これ持って行きますね」
「あぅ。うん、頼んだわ。私はココ片付けてから行くから」
「は〜い」
くすくすと楽しそうに笑うミリアリアの後ろ姿を見送ってから、手元にある汚れたボールやらに視線を向ける。
生クリームを泡立てたボールを手にとって一瞬それを見詰める。
「これって作った人の特権だよね」
ふふっと笑うと指でクリームをすくい、口に運ぶ。
「あれ? せんせ〜い、なぁにしてるのかな?」
いつもの戯けた口調で声をかけてきたのはフラガ少佐だ。
は指をくわえたままフラガを見る。
「残り物を堪能してたんです」
ニッコリと微笑む。
その指にはまたクリームがすくい取られている。
「なんだそれ?生クリームか…。なんでそんなモン?」
「キラ君とノイマン少尉のバースデーケーキを作ったんです。その残り物」
「へぇ、俺にも少しちょーだい♪」
いつもの笑顔を浮かべているフラガ。
「いいですよ、どうぞ」
そう言ってボールを差しだそうとしたのと同時にフラガは
の手を取る。
が「え?」と発した時には
の指は既にフラガに舐めとられていて…。
「え…えっえええ!?なっなな、何してるんですかぁッ!?////」
「んー、そっちのよりコッチの方が美味しそうだったからさ」
フラガはしらっとして答える。
「はい、 先生も♪」
悪戯っ子の微笑みを浮かべたフラガは自分の指ですくい取ったクリームを差し出す。
は真っ赤な顔で口をパクパクさせるしか出来ない。
「ん?いらないのかなぁ??」
ニヤリと口の端を持ち上げたフラガは指に付いたクリームを
の唇に乗せる。
次の瞬間には……
固まる をよそに、そのクリームを舐め取るフラガの姿があったという。
++後書き…もとい言い訳++
いや、今日は弟の誕生日でケーキ作ってたんです
で、ヒロイン同様後片付けを始める前にボールに付いた生クリームを
指ですくって舐めてたらこのネタ思い付きました
すぐ夢に繋げちゃうあたり中毒ですかね?(笑)
それにしても、フラガ少佐出番少ないのに美味しいトコ攫って行くのね
−2003/5/23−