慕情の薔薇
漆黒の闇に浮かび上がる紅い機体。
その機体を操る少女は楽しげに口元を引き上げている。
「見ぃつけたvv」
敵方の機体を視界に捉えてニヤリと笑う 。
『んじゃ、 ちゃんのお手並み拝見♪』
初めて戦闘を共にするディアッカは短く通信を入れると茜色のMAと対峙する。
アスラン達もそれぞれに戦闘を開始している。
「あ〜らら、出遅れちゃった」
戯けてそう言った
。
次の瞬間には普段決して見せない真剣な表情に切り替える。
「ディアッカ!そこ退きなさい!!」
いきなりバスターと茜色のMA――メビウス<ゼロ>の間に突っ込んで来る。
「はぁっ!?何だよ、危ねぇな!」
「自業自得よ」
ケッと毒づく 。
『ディアッカ、駄目ですよ。 さんの邪魔をしては』
ニコルはくすくすと笑いながら言う。
「これは私の獲物よ。アンタは後方援護でもしてたらいいわ」
事情の飲み込めないディアッカは不満そうに眉を歪める。
しかし、何だか逆らえない雰囲気なので仕方なく
の援護に回る事にする。
『よぅ、ザフトの戦姫。久し振りだね〜』
にメビウス<ゼロ>からの通信が入る。
「ええ、会えて嬉しいわ。エンディミオンの鷹」
『女の子に追いかけ回されるのは光栄なんだけどね、あ〜んまりしつこいんじゃないの?』
「しつこいのは貴方の方でしょ〜。いい加減落ちなさいよ」
そのセリフと同時にビームライフルを撃ち込む。
それを難なく避けるゼロ。
『はいそうですか、ってワケにもいかないんでね』
「それは残念ね。」
言葉とは裏腹に笑顔でそう言う
。
この
の笑顔、戦闘が終わるまで続いたらしいが誰も見る事が出来なかった為、確認は取れていない。
結局、決着は付かずに退いた双方。
はヴェサリウスに居る。
「お疲れ、
」
「アスランこそお疲れ」
「なぁ…」
「ん?」
考える様な素振りをしているアスランと、何?と首を傾げている 。
「例の条件って…何だったんだ?」
いざ戦闘に赴いてもわからなかったらしいアスラン。
「わかんなかったぁ?」
「あぁ。何となく…中途半端に話されると気になるし」
「ふふ♪エンディミオンの鷹よ」
ぱぁっと明るい表情を咲かせる
。
瞳はキラキラと輝いている。
「エンディミオンの鷹?」
「そ、茜色のMAいたでしょ?」
「ああ、あれか。あの機体が重要なのか?」
「最重要事項よ!彼のいる戦場、それが私の仕事場なの♪」
はそう言い残してふわふわとドックを去った。
残されたアスランは苦笑するしかない。
「まるで戦場のストーカーだな…」
小さく呟かれた言葉は の耳に届かない。
「知らなかったんですか?」
ブリッツから降りて来たらしいニコルが声をかけてくる。
「ニコルは知っていたのか?」
「だって有名ですよ?“戦場の薔薇”と名高いザフトの
は
連合の“エンディミオンの鷹”を追いかけ回すのが趣味らしい、と」
「有名だったのか…」
引きつりそうな笑いを浮かべるアスランだった。
「残念だったな」
仮面で隠された表情は窺えないが、口元には笑みが浮かんでいるクルーゼ。
「ま、簡単に落とされてくれる相手でもないですし?それはクルーゼ隊長もよくご存じでしょう」
「ふ、そうだな。ヤツが君に落とされるとも思えないがね」
その言葉に眉間にシワを寄せて見せる 。
「随分なお言葉ですね」
「これでも君の実力は認めているつもりだよ」
「“つもり”でしょう?あーもぉ、こんなに好きなのにどーして落ちてくれないかしら!」
プイッと顔を背けてその場を後にする。
「……相変わらず、歪んだ愛情表現だな」
青銀の髪を揺らす後ろ姿を見送りながら、クルーゼは小さく呟いたとか。
++後書き…もとい言い訳++
シグーって何装備してるんだ??
公式サイト見ても装備について触れてないからよくわかんなかったッス
ビームライフルなんて装備してるかぁ?なんて自分で突っ込みたくなった(笑)
ま、
sanのシグーはカラーリングも装備も彼女オリジナルって事で
ヒロインとフラガ大尉、何度となく戦場で相見えた事があります
が、普通敵同士が戦闘中に通信のやり取りなんてするかな(笑)
−2003/6/4−