激闘の薔薇

 

 

 

 

 

振り下ろされるビームサーベル。
ガンバレルから次々と放たれる弾。
激戦を繰り広げる紅い機体と茜色の機体。
のシグー改とフラガのメビウス<ゼロ>だ。
あれから再び戦場で相見えた二人。
他の機体なぞ目もくれずに戦っている。

「お姫様、MA相手に随分苦戦してるんじゃないの?」
『ハッ苦戦〜?莫迦言ってんじゃないわよぅ。折角なんだから楽しませないよ!』

その声と同時にひとつのガンバレルが落とされる。

『エンディミオンの鷹は私が落とす!クルーゼになんか渡すモンかッ』

一定距離を置いてのバスターとの連係攻撃。
熱くなっている様に見えても冷静な判断を下す
流石に“戦場の薔薇”と謳われるだけの事もあり、動きが優雅で女性的だ。

んー、いつだったかね〜?
紅いシグーを見て不思議には思ってたんだよな、他は皆白い機体だったワケだし
この柔らかい動きを見て『もしや…』と思ったんだよねぇ
女の子じゃないのか?、って
そしたら興味湧くよなぁ、どんな子か。俺としては
思わず通信入れてたしな〜

との初めての出会いを思い出すフラガ。
自然と口元が緩んでいる。
しかし当然ではあるが攻撃の手は緩まない。
近づき過ぎず距離を取ってガンバレルで攻撃する。
対して は積極的に近づいてはビームサーベルを振う。
距離が広がればバスターと共に遠距離攻撃を繰り出す。
動きからしてバスターは の指揮下にいる様だ。

 

 

 

一層激しくぶつかり合うシグー改とメビウス<ゼロ>。
既に通信も途絶え、戦闘に集中している状態だ。
ゼロのガンバレルもことごとく落とされ、もうひとつしか残されていない。
はコーディネイターと言え女性だからなのか僅かに息が上がっている。
体力的に余裕のあるフラガは四つあるうちの三つのガンバレルを落とされた為攻撃の手が少なく厳しい。

「チッ、これ以上は無理ね。イザーク、お熱くなってるトコ悪いけど一旦退くよ」

味方の四機に通信を入れる

『無理だと決めつけるな、今度こそストライクを落としてやる!』

案の定反発するイザーク。

「なら一人落とされるといいわ。そろそろエネルギー切れるでしょう?」

冷たい声音を発する。
イザークは無言だが、通信の向こうで息を飲んだのがわかった。
普段のへらへらした からは想像のつかない冷たさに驚いたのだろう。

さんの言う通りですね。退きましょう』
「じゃあ、ディアッカ。最後にエネルギーライフルぶち込んどいて」
『オッケー♪』

それまでビームサーベルで攻撃を繰り返していた紅いシグーは急に横に移動する。
続けてバスターがエネルギーライフルを放つ。
だがメビウス<ゼロ>は間一髪でそれを避けてしまう。
シグー改はその隙に戦線離脱を試みるが目前にストライクが立ちはだかる。

「ストライク…アンタだってそろそろエネルギー切れるでしょうに」

は苛立たしげに舌打ちする。
仕方なくビームサーベルを振りかざす。

が……

!!』

スピーカーからアスランの声が聞こえたのと同時にそれは起きた。
激しい衝撃。
ショートする機器。
沈黙する機体。
背後のメビウス<ゼロ>からの攻撃によって動力部を殺されたシグー改。
そのコクピットに収まる は衝撃によって頭部を強く打ち意識が薄れている。

「くっ……アスラン…早く退きなさいよ」
『だが… は!』
「…莫迦。此処は戦場、甘い事言ってると死ぬよ」

そう絞り出した は意識を手放した。

 

 

 

ストライクによってアークエンジェルに運び込まれた紅いシグー改。

「開けて、いいんですかい?」
「ああ、壊したって文句は言えないだろうしな」

マードックによって開けられるシグー改のコクピット。
そこにいる赤いパイロットスーツを着込んだ は四肢をだらりと投げ出した状態だ。

「おい、お姫様。……意識はない、か」

そう言ったフラガはそっと のメットを外す。
中に押し込まれていた長い青銀の髪が流れ落ちる。
フラガは顔にかかった髪をそっと払い除けてやる。

「…ん……?」

それによって意識を取り戻した

「お?目、覚めたな」

その声の主を探す様に視線を泳がせながらゆっくりと上体を起こす。
同時に額から赤い筋が流れた。

「エンディミオンの鷹?」

の口から零れた小さな声。

「あー、まぁ、そうなんだけどな」

苦笑を漏らすフラガ。
通信ならともかく、実際目の前で言われるのはあまり気持ちよくない。
は呆然とフラガの顔を見ている。
次第に紅潮していく頬。

「なんだ、惚れたか?」

ニヤリと笑って見せるフラガ。

「うん」

あっさり頷く
フラガは空中で器用にずっこけた。

「腕も良い、声も良い…で、顔も良かったのね〜」

ふわふわと微笑んでいる。
どうやらまた意識が飛びそうになっている様だ。

「はぁ…取り敢えずコイツ医務室連れてくわ」

周りにいる人達にそう言うフラガ。
が怪我をしているのは一目瞭然。
尋問の類より先に手当をするのが妥当であろう。

「そうね、運んでいただけますか?フラガ大尉」

フラガの言葉に頷くラミアス。

「お任せを、っと」

言いながら を抱き抱えた。
俗に言うお姫様抱っこというヤツで。

「不満は聞かねぇからな、医務室まで我慢しろよ」
「何、不満って?寧ろ逆ね、愛しのエンディミオンの鷹にお姫様抱っこされて嬉しいわvv」

にっこり微笑んだ は自らフラガの首に腕を回す。
ストーカーは何処までもストーカーらしい。
すり寄ってくる に苦笑するしかないフラガ。
二人の背後にはその様子に笑いを堪えるクルー一同の姿があった。

 

 


 

++後書き…もとい言い訳++

あービックリした☆
「そうね、運んでいただけますか?フラガ大尉」のセリフ…
最初、"フラガ体位"って変換されたんですけど!?
フラガさんだけに何となく納得(笑)←コラ
ま、それは置いといて…
戦闘シーンって難しくて書けません!
かなりいい加減な事を…(汗)

−2003/6/6−