徹夜の報酬

 

 

 

 

 

誰もいない食堂に響くキータッチの音。
その音を叩き出しているのは半眼でディスプレイを睨む様にしている女性。
その動きは尋常でない程に早い。
半ば自棄になっている様に見えるその作業。
それもその筈。
ここ数日まともな睡眠を取っていないせいだ。
その上3日程連続で徹夜が続いている。
あともう少し。
これが終われば存分に睡眠をむさぼれる。
は一心不乱にキーボードを叩き続ける 。
これだけの寝不足続きでこの集中力を出せるというのだから本当に凄い。
やがて作業が終了した は端末の電源を落とす。
ふぅ、と溜息ひとつ吐くと閉じた端末に突っ伏した。
少し休憩、のつもりで突っ伏したのだろうが…。
次の瞬間には寝息をたてていた。
余程疲れていたのか、集中力が途切れたせいであろうか。
そんな事も知らずに、食堂へ一人の訪問者。
ムウ・ラ・フラガ少佐である。
食堂へ一歩足を踏み入れた途端、立ち止まってテーブルでうたた寝している を凝視してしまう。

、こんなトコで寝てると風邪ひくぞ?」

フラガは言いながら の肩を軽く揺すった。

「ん…な、に?」

眠そうな顔を億劫そうに持ち上げる。

「寝るなら部屋戻れって言ってるの」
「んー…」

襲い掛かる睡魔はかなり強者らしく、 の瞼は再び閉じられてしまった。

 

 

 

意識が浮上する。
心地よかった睡眠から目覚めた
まだ寝足りないとは思ったが、自分が食堂にいた筈である事を思い出す。
しかし辺りは真っ暗。
食堂ではない様だ。
どうやらベッドの上に横になっているらしい。

部屋に戻ったっけ?眠くて記憶すっ飛んでるのかなぁ

徐々に脳が覚醒してゆく。

あー なんかぬくいわ〜vv

などと思いながら布団にしがみつく。
しかし何か違う事に気付いた。

固い…布団じゃない、これ
………人っ!?

驚いて身を引く

「目、覚めたか?」

聞き覚えのある声だ。
そう、同僚であるフラガの声に間違いない。
それがわかった は周りへ視線を向ける。
ベッドの上である事は間違いなかった様だが、そこは照明の落とされたフラガの部屋で。
はぎょっとする。

「な、何で私がフラガ少佐と一緒に寝てんの!?」
「食堂なんかで寝かせておくワケにいかないでしょーが。
の部屋に連れて行ければ良かったんだけどな。俺じゃロック開けられないから…取り敢えず?」
「と、取り敢えずで一緒に寝る?フツー!?…自分の部屋戻るっ」

そう言って起き上がろうと上体を起こす。
が、気が付くとフラガの腕の中。
起き上がろうとした をフラガが抱きとめたのだ。
フラガは を腕の中から逃さぬ様、閉じ込める。

「取り敢えずじゃなければいいんだな。是非、ご一緒に♪」
「…っ!////」

闇に慣れ、夜目がきく様になった は、子供みたいな笑顔を浮かべるフラガに脱力してしまう。
僅かに頬が染められたのを隠す為に、フラガの胸に顔を埋めた。
フラガは観念した に満足げな笑みを向けると、 の背に回した腕に力を込めた。

数時間後、フラガを呼ぶ様に頼まれたキラが仲良く寄り添って眠る二人の姿を目撃してしまう。
二人はそれを知る由もない。

 

 


 

++後書き…もとい言い訳++

これまた寝る前ウトウトしながら思い付いたネタ
ネタが思い付くうちに書いとけ!なノリで書いちゃいました(笑)
えーヒロインsanはお好きな設定に解釈しちゃって下さい
一応アークエンジェルのクルーの一人である模様
整備士だろうが佐官だろうが尉官だろうが下士官だろうがオールOK〜

−2003/5/14−